トレーサビリティの証明に用いる計測器の使い方

規格に基づいた計測をするために必要

日本で規格に基づいた計測を行う場合、国が用意している国家標準器を元に校正を行います。基本的には国家標準器を元に校正をしてある、二次以降の標準器を使用します。そして、ある計測器を校正する際、標準器を辿っていき、最終的に国家標準器にまで到達できる流れを明らかにできれば、トレーサビリティが証明されます。このトレーサビリティの証明がなければ、計測をしたとしても、その結果が規格に基づいていることにはなりません。計測器は使用していく内に誤差が大きくなるものなので、定期的に校正をして、トレーサビリティを証明する必要があります。その頻度は、規格や計測の種類によって異なります。

適切な環境で計測のみに使用する

トレーサビリティを証明するために計測器の校正を行う場合、基本的には標準器と同じ環境で、同じ使い方をします。そして、その両者の間にどれくらいの誤差があるのかを確認します。誤差の範囲は計測の種類によって異なり、長さであれば1000分の1ミリ単位で記録することが多いです。校正では誤差を確認するだけですが、修正を同時に行うことも多いです。そして、標準器はあくまでも校正に使用するものなので、実用的な使い方はしません。もし、実用してしまうと、誤差が大きくなり、標準機としての役割を果たせなくなるからです。使用しない時は環境の整った場所で保管しておいて、必要な時のみ持ち出してきます。また、場合によっては入り込んだごみや温度の差が、計測の際の誤差を生み出すことがあります。そのため、計測の種類次第では、校正を行う環境も清潔かつ空調が整っている環境が必要となります。

代表的なブロックゲージの使い方

計測器の校正を行う代表的な標準器には、ブロックゲージというものがあります。名前の通り小さなブロックを使用する器具で、そのブロックの組み合わせによって色々な長さを作り出すことができます。そのため、長さの校正を行う場合は、ブロックゲージだけで十分な場合が多いです。そのブロックゲージを使用する際には、水分や皮脂が付着しないように手袋を着用します。そして、温度にも注意する必要があり、人の手が触れただけでも長さが変わりかねません。したがって、なるべく触れないように意識しながら、基準の長さになる組み合わせを作ります。その際には、隙間が完全になくなるように、別の角度で重ねた後、回転させて密着させるリンギングという技術が必要です。このように、標準器を用いて校正する際には、慎重になる必要があります。

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