品質保証に欠かせない計測器のトレーサビリティ

標準器を元にして正しい結果を出せるようにする

計測器には、長さを測るノギスや重さを確認する天秤、電力を図るものなど色々な種類があります。そして、それぞれ製品が規格の範囲内に収まっているか、異常が発生していないかなどを確認し、品質をするために使用します。ただ、その計測の結果が常に正しいというわけではなく、場合によっては異なる結果が出ることもあります。それは元々の質の違いの他に、使用する部品が劣化することも原因となります。そして、そのまま全く異なる結果が出る状態では、製品の品質が保証されないため、正しい数値が出せるように調整をしなければなりません。その際に使用するのが、標準器という道具です。日本には法律に基づいて、正しい計測の基準となる国家標準器が分野の数だけ用意されています。

二次あるいは三次の標準器を使用することが多い

理想的なのは国家標準器を使って直接調整をすることですが、国家標準器は原則として、ひとつの分野につきひとつしか用意されていません。そのため、事業用の計測器をそのまま使って調整をすることはできません。ではどうするのかというと、国家標準器を元に調整を済ませた、別の標準器を使用します。その標準器は、国家標準器を一次標準器とするため、二次標準器と呼ばれます。そして、二次標準器を参考に調整した三次の標準器もあり、事業用の計測器の調整は、その三次標準器を使用して行うことが多いです。ただ、三次標準器まで行くと、本当に一次である国家標準器が元になっているかどうかがわかりません。そこで大事になって来るのは、トレーサビリティです。トレーサビリティとは、国家標準器に辿り着くまでの全ての標準器を証明できるものです。どの標準器を使用したかを明らかにすることで、計測に信頼性を持たせられます。

国家標準機までの誤差を全て記録

標準器を使用して行うのは、厳密には調整ではなく、誤差の確認です。正確な数値を出せる上位の標準器に対して、どれだけの誤差があるのかがわかれば、その誤差を加えた計算によって正確な数値が出せる形です。そして、トレーサビリティの証明では、その誤差が全て記録されます。そうして、実質的に国家標準器との誤差をしっかりと計算できるようにすれば、計測器の品質が保証されることとなります。この標準器を用いた調整は法律が関係していますが、絶対にしなければならないというわけではありません。しかし、やらなければ、規格に基づいた製品を作ることは不可能です。したがって、ほぼ必須と言えるでしょう。

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